今日は、松井五郎さん作詞、玉置浩二さん作曲の『 あの頃へ 』 を取り上げたいと思います。
玉置浩二さんが歌うこの曲は玉置浩二さんの曲の中でも特に好きな曲のひとつです。玉置浩二さんの曲といえば、かつては『 メロディー 』をよく聴いていたのですが、数年前からはこの 『 あの頃へ 』 のライブ映像もときどき視聴しています。( 1994年の映像です。)
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( prussian fuyuka んの投稿動画を使わせていただきました。)
透明感のある玉置浩二さんの歌声と、哀調を帯びた幻想的な旋律。この映像をひとつ取っても玉置浩二さんてすごいミュージシャンだなぁと改めて思います。
私たちの人生の記憶と音楽には密接なつながりがあり、「 この曲を聴くとあのときを思い出す。」ということがよくあると思いますが、この『 あの頃へ 』は僕にとってそのような曲のひとつです。この曲との出会いは、数年前の冬にさかのぼります。
僕は当時東京都内で暮らしていたのですが、仕事での疲労と個人的な悩みで精神的にまいってしまい、一歩も先に進めず、 過去のノスタルジーにとらわれたままの毎日が続いていました。
ヒルティの『 眠られぬ夜のために 』( 第一部 )という本の中にある「 三月の雪 」という詩に、次のような一節があります。
冬は去ったが 春はまだ来ていない。
生命と光と大気にあこがれて わが心は死ぬばかりだ。
ふかい重圧のもとに わが思いはなお屈しており、
不安とうれいと重い仕事のくびきが私を苦しめる。
大地は昔ながらの悲痛の叫びで 私をおさえつけている。
春の喜びの歌が聞こえるたびに またもや新しく雪がふってくる。
当時の自分はこの詩のような状態にあり、ふと、それまでの人生を振り返ったり、生まれ育った田舎の原風景を思い出したりしながら、強烈なノスタルジーを感じていました。生まれ育った田舎がとても好きとか、楽しかった日々をなつかしんでいたとか、そのような心情ではなく、過去に自分が何度も見てきたさまざま風景に、ただただノスタルジーを感じていたのです。
そんなある日、玉置浩二さんの『 あの頃へ 』を初めて聴きました。この曲は当時の僕の心情にとても近くて、ずっと横になりながらこの曲を聴いているうちに、気持ちが少しずつラクになっていきました。
誰にもいろいろな『 原風景 』があると思います。その原風景は楽しい思い出だったり、切ない思い出だったり、くっきりとした輪郭で描かれたカラーの風景だったり、かすみがかかったモノクロの画像だったり、いろいろだと思います。そして、今経験していることが数年後の原風景になっているかもしれません。
この『 あの頃へ 』を聴くと、当時の苦しみと挫折から再び前を向いて歩き始めたときに感じた安らぎとかすかな光を思い出すだけでなく、高層ビルの間を行き交う雲や自宅近くの公園の風景なども思い出します。
それ以来、 この曲は『 メロディー 』と並んで、玉置浩二さんが歌う曲の中でも特に好きな曲のひとつになりました。
最後に、 この曲の演奏動画を共有して終えたいと思います。この曲の魅力をここまで表現できるなんてすごいです。
( 直江様の演奏動画を使わせていただきました。)
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