志鷹美紗さんの CD 紹介 ④ – 「 Romantic Collection ~ La Campanella ~ 」

今回のブログは、志鷹美紗さんのCD紹介シリーズ第4弾です。前回までのブログで、志鷹さんのソロアルバム2枚と『 トリオ・プリマヴェーラ』のアルバム1枚について書きましたが、今回取り上げるのは、志鷹さんにとって3枚目のソロアルバムとなる「 Romantic Collection ~ La Campanella ~ 」です。

このアルバムは、2012年から2014年にかけて複数の会場やスタジオで志鷹さんが演奏された曲の中から15曲を厳選して収録したもので、2016年5月8日にリリースされました。この日には、志鷹さんの4枚目のソロアルバムとなる「 BEETHOVEN APPASSIONATA 」も同時リリースされました。( こちらの アルバムについては後日ブログに書きます。)

「 Romantic Collection ~ La Campanella ~ 」の収録曲は以下の通りです。

01. モーツァルト:ロンド ニ長調 K.485
02. モーツァルト:ピアノソナタ 第11番 第3楽章「 トルコ行進曲 」
03. ショパン:24の前奏曲より 作品28 第15番 変ニ長調「 雨だれ 」
04. ショパン:練習曲 作品10 第4番 嬰ハ短調
05. ドビュッシー:ベルガマスク組曲より「 月の光 」
06. ドビュッシー:前奏曲集Ⅱより「 月の光がふりそそぐテラス 」
07. モーツァルト:きらきら星変奏曲 ( 歌曲「 ああ、お母さん、あなたに申しましょう 」による12の変奏曲 )
08. プロコフィエフ:トッカータ ニ短調 作品11
09. シベリウス:ロマンス 変ニ長調 作品24 – 9
10. リスト = シューベルト:シェイクスピアのセレナーデ 「 聴け聴け、ひばり 」
11. リスト:メフィストワルツ 第1番「 村の居酒屋での踊り 」
12. プーランク:即興曲 第15番「 エディット・ピアフを讃えて 」
13. ガーシュイン:アイ ガット リズム
14. バッハ:ゴールドベルク変奏曲「 アリア 」
15. リスト:パガニーニによる大練習曲集より 第3番「 ラ・カンパネッラ 」

曲目の解説と推薦コメントは音楽評論家の渋沢明さんが書かれています。

推薦コメントを引用します。

志鷹美紗の魅力満載のCDです。愛らしいモーツァルトの “ ロンド ” ではじまるこのCDは、小品であろうと難曲であろうと、志鷹さんの音楽性に満ち溢れた名曲揃いの曲集になっています。定評あるショパンの “ 雨だれ ” 、シューベルトの “ 聴け聴け、ひばり ” が元になった “ シェークスピアのセレナーデ ” は、繊細で考え抜かれた音楽性の高い演奏です。ドビュッシーの “ 月の光 ” 、 “ 月の光 が降りそそぐテラス ” 、またブーランクのシャンソンの要素を取り入れた “ エディット・ピアフを讃えて ” は、フランス音楽の緻密でおしゃれなエスプリを見事に表現しています。そして、タイトルロールの “ ラ・カンパネッラ ” の美しく熱い名演!ぜひお聴きいただきたいと思います。

この CD には 志鷹さんの CD の中で最も多い15曲が収録され、曲目もモーツァルト、リストを始め、さまざまな作曲家の曲で構成されていて、それまでの2枚のソロアルバムとはまた違う構成で収録された作品になっています。

志鷹さんの演奏はどの曲も旋律がとても美しく、心の深い所まで響いてきますが、渋沢明さんのコメントにもある通り、この CD にも志鷹さんの音楽性が満ち溢れています。

この CD のいくつかの曲について僕の感想を書きたいと思います。


まず、1曲目の モーツァルト:ロンド ニ長調 K.485 。この曲は気分が明るくなるようなメロディーで始まり、モーツァルトらしさが随所に出てくる曲です。この曲はおそらく、音質、音量の全てを鍵盤のタッチのみでコントロールしなくてはならないという点で 、弾き手の技術がそのまま演奏に表れる曲ではないかと思いますが、最初から最後まで志鷹さんの非凡な才能を感じさせる演奏になっています。

この曲は、You Tube でも 志鷹さんの演奏を視聴できます。↓


次に、2曲目の モーツァルト:ピアノソナタ 第11番 第3楽章 『 トルコ行進曲 』。この曲はモーツァルトの曲の中では特に好きな曲のひとつで、今までたくさんのピアニストの演奏を聴いてきましたが、このCDでの志鷹さんの演奏は本当に素晴らしいです。音色の繊細さと華やかな躍動感と曲全体のバランスにこれほど富んだ演奏を聴いたのは初めてでした。

この曲のサビの部分は楽譜では f( フォルテ )になっていますが、このサビの部分をあまり大きな音量で弾くと曲全体のバランスが崩れてしまうと思うので、「 メゾフォルテの部分と比べて少し音量が大きい 」という程度の音量 ( 強さ ) で弾いている演奏が僕は好きです。志鷹さんの演奏はこのサビの部分の音量 ( 強さ ) も絶妙で、耳にとても心地良い。


次に、3曲目の ショパン:24の前奏曲より 作品28 第15番 変ニ長調雨だれ 』。この曲もよく知られている曲ですね。この曲の一番の難しさは表現力にあると思いますが、このCDでの志鷹さんの演奏を聴いていると、雨を中心に様々な情景が浮かんできて、想像力が豊かになっていきます。

僕は雨が好きで、特に “ 休日の朝に目が覚めると小雨が降っている ” という情景がとても好きです。

このような朝を迎えられたときは、しばらくベッドの上に横になったまま音楽を聴き続けますが、選曲は志鷹さんのCDが中心。この「 雨だれ 」が流れてきた時は外の雨を見ながら、ショパンがこの曲を作ったときの雨の情景を想像したりしています。


次に、4曲目の ショパン:練習曲 作品10 第4番 嬰ハ短調 。この曲も多くの人に親しまれている曲のひとつですね。 「 のだめカンタービレ 」で使われてからは、一躍人気が高まったのではないかと思います。

ショパンの練習曲については、2019年6月23日のブログ にも書きましたが、練習曲でありながら素晴らしい作品( この日のブログで引用させていただいた表現をお借りすると『 第一級の芸術作品 』 )がたくさんありますね。

この 『 作品10 第4番 』も You Tube で志鷹さんの演奏を視聴することができます。↓

You Tube での志鷹さんの演奏を視聴した方が「 難曲を上品に仕上げている 」とコメントしていますが、僕もそう思います。そして、CD の演奏でもそれは同様です。嵐のような曲調と疾走感が魅力であるこの難曲を、志鷹さんはいとも自然に、心地よいテンポで、上品に演奏されています。


次に、11曲目の リスト:メフィストワルツ 第1番 『 村の居酒屋での踊り』。この曲はダイナミックで壮麗な曲調、中間部のロマンティックな詩情、後半部の怒涛のような高速連打など、聴き所満載の曲ですね。

この曲も今までいろいろなピアニストの演奏を聴いてきましたが、志鷹さんの演奏が一番好きです。美しい音色、しなやかさと迫力、演奏から伝わってくる情感、メリハリのある構成など、どれを取ってもずば抜けています。

この曲も You Tube で志鷹さんの演奏を視聴することができます。↓

もう、「 すごい 」の一言に尽きます。


最後に、15曲目の リスト:パガニーニによる大練習曲集より 第3番 『 ラ・カンパネッラ 』。リストは「 ピアノの魔術師 」と呼ばれるほどの超絶技巧派ピアニストでしたが、作曲・編曲した曲も自身の技術を最大限に駆使している難曲が多いですね。中でもこの曲は超難曲であり、リストの代表曲のひとつと言ってもよいでしょう。

『 ラ・カンパネッラ 』はイタリア語で「鐘」という意味で、この曲はヴァイオリニストのニコロ・パガニーニが作曲した『 ヴァイオリン協奏曲 第2番ロ短調Op.7第3楽章 ラ・カンパネッラ( 鐘のロンド )』をもとに、リストがピアノ用に編曲しました。

僕がこの曲を初めて聴いたのは高校生の頃でした。初めて聴いたときは「 こんなすごい曲があったなんて・・・。」と、ただただ驚き、一瞬にしてこの曲のとりこになりました。そして、 パガニーニ とリストの名を初めて知りました。当時はまだクラシック音楽のことはあまりわかっていませんでしたが、超高度な技巧が求められる曲だということはすぐにわかりました。

今日取り上げている志鷹さんの3枚目のソロアルバムのタイトルは 「 Romantic Collection ~ La Campanella ~ 」 であり、最後の曲が、この 『 ラ・カンパネッラ 』ですが、先程引用した渋沢明さんのコメントに「 タイトルロールの “ ラ・カンパネッラ ” の美しく熱い名演!」とあるように、この CD の最後を飾るにふさわしい、素晴らしい演奏です。

この曲も You Tube で志鷹さんの演奏を視聴することができます。↓


志鷹さんの3枚目のソロアルバム 「 Romantic Collection ~ La Campanella ~ 」 の紹介は以上です。このアルバムも志鷹さんの演奏の素晴らしさ、音楽の素晴らしさを味わうことができる珠玉の作品になっています。心からおススメします。

僕は この CD を志鷹さんのリサイタル会場で購入しましたが、志鷹さんのウェブサイト からでも購入できます。

さて、いよいよ志鷹さんのピアノリサイタルが間近に迫ってきました。僕は今回も東京公演に行きます。万全の体調で鑑賞できるよう、残りの2週間しっかり体調を整えようと思います。

志鷹美紗 ピアノリサイタル情報( イープラス )

東京公演:9月23日(月・祝)開演14:00

広島公演:10月12日(土)開演15:00

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ABOUTこの記事をかいた人

ピアノ愛好家。特に好きな作曲家はベートーヴェン、ショパン、ジョージ・ ウィンストン。ピアニストでは志鷹美紗さんの演奏が一番好きです。田舎暮らし。読書と動物と美術鑑賞も好き。